2011年3月18日金曜日

3/18-2

「諦めやすいところから始めた小説なわけですね」
対話の相手はそう言った。
「はい、そうです」
「なるほど、でもこれは本当に小説なのですか。つまり、これは小説の形で書かれるべきものであったのでしょうか」
「それは、わかりません。ただ、ぼくには、こうするしかなかったし、これ以外のことは僕の手に余ることだったのです」
「僕の手に余る」
彼(対話の相手)はカレの言葉の最後の部分を繰り返した。ボクノテニアマル。
「この文章の中であなたは、僕について言及しているという人たちがいますが、実際にそういう声があることでこのような場が設けられたわけですが、それは本当のことなのですか」
「はい、それは実際のことだと受け取られて仕方ないと考えています、現にだからこそ僕は今あなたとこうして話すことになっているのですから」
「そう、私はあなたの話の中に登場させられてしまっている、これは私にはどうしようもないことです、私にはそのことについて、それを受理する権利も拒否する自由も最初から与えられていません。剥奪以前に、権利と自由を与えられるべき主体もない、実体的な存在すら許されていないのですから」
「でも、あなたはここに存在しています。これはある意図をもって書かれているのであり、それは何かの染みとなって存在し、その染みは何かの模様として理解される、もしくは何も認められない、どちらにしても何ものかとして見られるのです」
「それはいいでしょう、それはそういうことだとして話を続けましょう。そしてここであなたは僕に何を話させ、あなたは僕を相手に何をしたいのですか?」
「まず、こうしてあなたにばかり質問をさせて、僕が答える、という形式になっていることを謝りたいと思います。これは本質的なことではありません、僕の能力が、あなたとのもっと有機的な交わりを達成させるには十分ではない、そのために起こっていることです」
「かまいません、僕はすべてを諦めてしまってますし、受け入れているつもりです」
「ありがとうございます。まず最初に、ここに出てくるあなたは、決してあなたじゃないといけなかったわけではありません、これは最初の前提ですが、そこにおいてはそうなのです。まず、僕には相手が必要だった。それはひとつの装置であり、僕はその装置によって、この中の言葉たちの想像力を飛躍させる必要がありました。言葉たちが死ぬ前に、彼らに新しい空気を送り込む必要があったのです。だから僕は誰かと話さなければならなかった、僕として。そして次に、ここであなたでなくてはいけなかったわけですが、あなたの瑞々しい文章、今の僕たちを絡め取り、また自由にし、同時に束縛している、そのようなあなたの言葉と対峙したかったのです。それは何か大義のようなものかもしれません、僕が勝手に感じている。これも僕にとっては、言葉たちのためです。あなたの世界と枠組みにぶつかることで、ぼくは目から星が出るようなことはないか期待しているのです。僕の体がばらばらになってしまっても、何かワープできる世界が現れないものかと。まったく違う次元というのが、別の世界に存在しないのかということを。」
「そんなに素直に語って大丈夫なのですか。あなたが今語ったことは、僕の世界に対してというよりも前に、あなた自身を殺す行為のように見えます。何事もある程度取り繕わなければ、それはただの塵になってしまう。少しの風の前に消えてしまう、弱いものになってしまう。その怖さはないのですか」
「そんなふうにあなたに言わせてしまっていることが申し訳なくなります。そうです、これではまた何かしらけてしまう。だからまた何か考えます。そのときはまた協力してください、ぼくの身勝手のすべてに」

そうして対話は終えられた。言葉がまたもう一度死にかけたから。    

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