2011年3月10日木曜日

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彼女の隣でボクは毎日、その言葉を書き留めていた。彼女の手振り、何を飲み何を食べ、誰と会い何を話し、ボクに何を言い、寝て、起きて、また生きる彼女を、ボクは黒いモレスキンに記し続けた。
毎夜ボクが手帳を横にラップトップに向かっていると、彼女は、そう本当に毎夜ボクに聞く、同じことを。「一度書いたものを、また書き直して、何の意味があるの」ボクはいつも同じように、ときには少し変えて、答える「同じものはふたつとしてない、ボクは昼間に毎日を書き、夜にそのすべてを新しく書いているんだ。夜、ボクの頭の中で映し出されるもの、それが書かれるということ、それがボクにとってのキミの真実なんだよ」
そうすると彼女は笑って、ベッドの上で背中を向ける。ボクはいつも同じ調子、同じタイミングで「おやすみ」と言い、彼女は、そして眠る。

「すべての問題、問題のすべては、老人たちが席をどかないことにある。彼らが席を譲らないこと、譲る気のないこと、それが現在の私たちの壁になっているのよ。私たちが常に低い温度の生に止め置かれて、身動きも出来ず、生きていこうとする前に殺されてしまうのは、彼らが彼らの生活、彼らの暖炉のことしか考えないから。彼らは全員の資源をまず取り上げて、そのあまりを私たちに与える。これが、今月分のこづかいだ、と言わないばかりにね。私たちは生かされているのよ、優しい老人たちに。彼らは死なないといけない。私たちはそこからやっと生きていけるの、責任をもってね」
彼女はネットワークというものの性質、紐帯ということの本質を理解しているように思う、もしくはその感性を持っている。彼女はいつも二人か三人の人間に何かを語り、決して大勢の前で話すということをしない。ひとつひとつの意見や問題を丁寧に解いて、相手と自分を共有させていく。そうして彼女は彼ら彼女らの象徴となっていく。

「英雄のいらない世界。何を語るかよりも、如何に語るかが大事な世界。その世界を壊してしまいたいの。私はもう一度、社会が科学と神話の間にあった時代を蘇らせたいのよ。風刺に悪魔を登場させるの、その必要があるのね」

「男根に消費されてもいいの。だって結局、女が何かしてあげないと、たたないんでしょ、男って人たちはさ」    

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