僕がタイプをする間にも、彼女はどんどんと自分の言葉を進めている。
自分の言葉?そう彼女の言葉だ、彼女によって語られる彼女の創作、創作?そう彼女が想像していく物語の、、記述?記述、そう僕がそれを”タイプ”している、彼女の叙述を。”語られる”のは僕のタイプと彼女の声の間にあって、僕の指と彼女の唇、その不規則でなだらかな、穏やかな律動、繊細な、その指と唇の動きの中で、”語られる”。
タイプする、なぜ。なぜか、それは、声には触覚が必要だから。ボイスオーヴァーというのは、言葉を殺し、死んだ文字を書き写すことだから。手触りのある音楽が必要だから、何に?、それが物語だ。彼女によって、僕と彼女の間で、声、タイプ、指と唇、この部屋、スタンドランプ、窓、海、僕によって、彼女と僕の間で生まれていく物語。
僕がタイプしながら、そんなふうに考えている間にも、彼女はその物語を語っていく。
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