2008年12月13日土曜日

factotum.14

「コチラハ、廃品回収車デス。

 御家庭内デ 御不要ニナリマシタ

 大きなモノや 重たいモノなど

 ドンナモノデモ 回収イタシマス

 コワレテイテモ カマイマセン

 マタ ワカラナイコトガアリマシタラ お気軽にオタズネクダサイ」


精度の高い言葉は、往々にして多義的だ。

それは多分、言葉が本来持つはずの、僕たちがわからないほど深淵なところにある、全能性というかな、そういったTotipotencyに由来しているんだろう。

海の底から沸き上がってくる無数のあぶくが、一番深いところから一番遠いところにいる僕たちに、それぞれ当たって、

僕らは、ぶわんと、揺れたり、溺れたり、死んだり、目を覚ましたりする。


嘘をついていても、それは嘘ではなくって。

「ホントウニ」なんて台詞も相手には、虚ろなものにしか聞こえない。


連れて行かれた モノ たちは どこにいくんだろうか。

多分、すぐに彼らは 彼らでなくなる。

僕もそこに行けばちょうど 僕でなくなってしまうように。

それは全然、大丈夫なこと。

でもその前に、ただ一つ僕が聞きたかったのは、

そう、わからなかったことを、お気軽に尋ねたかったってこと。

「何がわからないのか、教えてくれませんか?」ってこと。

もしそれが聞けたら、僕はすぐにでも、僕を僕でナクしてくれるところに、連れて行って欲しかったろう。


だから僕は外に出なかった。家を出て、あの車に走っていかなかった。

しっかりと僕をつかみかけたその言葉が、カラッポだとも、やっぱり知っていたから。

僕から生まれた疑問にコタエルのは、僕でしかないことにも、気づいていたから。    

0 件のコメント: