2010年2月17日水曜日

ロマン主義、雑感。

芸術について、とりわけ絵画や彫刻などの視覚芸術の領域においてのロマン主義なる定義は、その範囲の確定が難しい。

古典主義の代表者であるゲーテの中に多分にロマン主義の嚆矢となる要素が見られるように、またあまりに儀礼的な場面、様式美の粋を凝らした構図にその画力を注いだダヴィドの絵画が、それと同時に彼の政治的な主張、革命に対する夢想を語るように、作家性の発露こそがロマン主義の本質であるように思われる。

「芸術史とは、芸術の歴史であって、芸術家の歴史ではなかった」と語られるように、芸術作品において、作家というものはその技巧の高さ以外を問われることはなかった。作品の中にその作家性を見ることは後代の歴史家や研究家によって初めてなされたことで、ロマン主義以前の主流な芸術の中に、主流な芸術の価値観にと言い換えてもいいが、社会が求めた芸術とはプロパガンダであり社会的紐帯の強化以上のものではなかったと言えるだろう。

もっとも芸術の社会的役割はそれ以降も変わらないが、その役割を演じる中で、芸術家というものが為政者の宣伝家以上に、彼自身が革命家となったその現象が、ロマン主義の意義である。

ロマン主義とは回顧的であり古典的でもあり、またターナーのように後の印象派に連なる未来性も持つような定義の困難な言葉だが、作家が絵画の中で、それまでの時代と比べて格段に彼の言葉を語り始めたというところに、つまりは革命への憧れが、彼自身を革命家に変えたところにその歴史的な定義が下される。

ロマン主義とは革命家のロマンチズムであり、革命の可能性への夢想こそが芸術家をロマン主義者にするのだろう。

ロマン主義とは、作家の誕生であり、近代芸術の過渡期、その出発であった。    

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