ワインを飲もう。
それもじっくりと、自分の全精力をかけて、全身の感覚を集中させて、精神をふんだんに働かせて。
ワインというのは、とっても未完成で、不安定なお酒です。
日本酒やウイスキー、その他のお酒と比べても、こんなに天気や場所に左右されて変化するお酒はない。
だからこそ、とてもおもしろいわけです。
ワインのおもしろさは、その味の背景を探ることの無数のヴァリエーションと可能性にあります。
つまり最も口数の多くなるお酒、言及される飲み物、それがワインです。
ワインは、とても安いものから、とても高いものまであります。
たとえばここに、ルモワスネという人が作った――正確にいえば作ってはいません――ルノメという場所の1987年のワイン、8200円のワインがあります。
飲んでみましょう。
あぁ、なんて素晴らしいんでしょうか――こういう文句が鼻につく人には嫌がられるんでしょう
余分なタンニンがすべてそぎ落とされていて、しかしタンニンによって支えられた味わいのバランスの良さ。
華麗で繊細な果実の甘みと、年月を経て生まれたその枯れたニュアンスとの、アルコールのヴォリュームによって広がるその世界が、実に官能的です。
このようにボクはワインを楽しみ、愛しているのですが、
これが何になるのでしょう。
程度のいい日常、アルバイトで得た月収13万円。
しかし、家賃も食費もかからない生活。
その13万円が、向こう見ずな消費に流れていく。
その中でボクは、こんなにも楽しく優雅な体験に酔える。
この事実の前に、ボクは何を望むのでしょう。
もっと、いいワインを飲めるようになりなさい?
そうです、それしかない。
では、どうやって?
答えはあります。
つまり提出したかった問題は、
日常というものがいかに問題のないものかということ。
そしてお酒というものが、人間にとって何なのか。
酒のために生きるということができるのか、
酒は文学のテーマになりうるのか、
そういうことでした。
この問題の解決は、まだ未完成であり、
続きます。
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