2009年6月10日水曜日

Lost. 四の五の言っても始まらぬ。

いえ、違うのです。実は、こうなのです。ボクは矛盾した気持ちを抱えているのです。だから、と、四の五の言い訳をして、言い訳のために生きていたって、始まらない。

そういったつまらない、本当につまらない雑文、エクスキューズを書いているくらいなら、とっととちゃんとした文章というものを書けばよろしい。批判には、それから応えよ。

誰に何を言われようと、ボクはこの文体を、今日は貫く、貫いてみせる。どちらも苦しい地獄であれば、インタレスティングな地獄をずぶずぶと歩いてみせましょう。足が焼け、皮膚が溶け、体がずる向けになろうとも、ボクには地獄を歩くしかないのです。

ピノ・ノワールを主体としたワインだけを、酒として飲む、と決めていたわけですが、とんでもない、今のボクは立派なアルコール中毒です。

人と飲まなければ、やっていけない、ボクは消失してしまう。素面のままでは、ボクは永遠に眠れません。素面のままでは、やることがないのです。高尚な軽口、それがボクの唯一の武器です。口から生まれ、口で死んでいく、つまらない男には、つまらない責任しか残されていないのです。

軽口に飽きられて、死ぬ男の末路は如何や?

そうでした、軽口を言い通す地獄を選んだのでした。


「私は、淋しさなんて感じない。私は弱くないもの。」

そうあなたは言いました。いや、本当は、

「私、今、まともなの。だから淋しさなんて感じないの。女だから、かしらね」

と言いました。

淋しさは男の低俗でしょうか、それとも男女共通の心の強弱でしょうか。

それを全面的に受け入れましょう、降伏してみましょう、ボクは、今、男であり、そして人間としてあまりに、弱い。

しかし、それがいけないことだとは、ボクにはどうしても思われないのです。人間のステキさ、それだけが唯一の真理です。

あなたは、今、本当につまらない。チェ、と、口を鳴らしてしまいます。

ボクがいくらつまらなかろうが、あなたはステキでなければいけなかった。

ボクの思うステキなあなた、それが世界で一番ステキなあなただと、ボクは全世界に向かって、説明できます。

ボクは、負けない。

始めから世間に負けているのですから、もう負けようもないのです。負けない戦いの全精力をかけるのならば、ボクはこの闘争に、この軽口の全てをかけます。

軽口家の革命。

それ以上の戦いも真実も、ボクにはなかったのです。

ボクが、こうやって文学をやりはじめたそのときから、ボクの戦いはあなたと、あなたを取り巻く全てのものとの戦いでした。

ボクはそれら一切のものに勝つために、それ以外の全てに負けることを決めたのです。

勝つ地獄のために、負ける地獄を選んだのです。

地獄を歩くボクのゴールを、ボクは決して諦めません。

地獄の悪魔、それが今のボクなのです。



今のボクには、失う己がないのです。

あらゆる愛が恋であるならば、ボクのあらゆる恋の対象であったあの人を失って、ボクは何も持たない、ボク自身すらもない、空っぽの物体なのです。

夜の街をふらふらと浮遊するただの物体、ただの物体には何の実体もあるはずがない。

物体は自然の重力に流されるのです。

自然。ボクの自然は酒なのです。

酒のみがボクの恋の希望を、その希望が生まれる可能性の夢を見せてくれます。

失った恋を、酒だけが懐かしく想わせてくれ、新たな恋の希望を感じさせてくれるのです。

ボクは、淋しいのです。

淋しくて、たまらないのです。

ボクの手が震えているのは、酒のせいではありません。それは、涙なのです。

深夜3時の寂寞に、恐れ、震えて、涙が止まらない。

これが恐くて、ボクは酒を飲むのです。

深夜3時を、振り向きもせず、逃げ切りたいのです。

これをあなたは弱いと言う。

しかしです、みんな弱いはずなのです。

ただみんなは、格好をつけられるだけなのです。

ボクは、格好がつけられない。

ボクは、負ける地獄を選んだのですから。

地獄世界の食料は、酒しかないと昔から決まっているそうなのです。

ボクは、食べるものがなくて、仕方なく酒を飲むのです。



図書館で借りた本の返却期限が一日過ぎてしまいました。

こんな些細な事実に、ボクは打ちのめされるのです。

梅雨の始めの雨の日に。    

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