昔むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは、雉やウサギなどの家禽を育てて、多くのレストランに卸していました。
あるときおじいさんは、おばあさんと夕食をとりながらこんなことを話しました。
「お前は知らないだろうけどな、おいたまには酒にも付き合え、このピノはなかなか旨いんだ、でな、そう、お前は知らないだろうが、実はカモなんかは5年くらいほったらかしにしたやつが絶品なんだよ、いや普通は2月かそこらでとなっとるがな、本当は違うんだ。5年くらい野放しにしてな、それで生きとるやつをチーズと一緒にしばらくおくんだよ。これが、世界で一番贅沢なカモの食べ方なんだ」
にぎやかな会話が家の中で明るく咲いていたその横で、マガモのシャロンは、外から壁に耳を当てていました。
「ぼくは、死にたくない、今のすごく楽しい生活を続けたいよ。せっかくあの子ともキスできたのに、これからなのに。でも、たとえ生き続けたところで、5年たったら、きっと必死に探されて、殺されるんだ。生き続けても5年か。じゃあそれって、2月を生きるのとどう違うのかな。びくびくしながら5年。何の心配もせずに2月。どっちが幸せなんだろう。」
それを横で聞いていたぼくは、シャロンを抱え上げ、車に押し込み、日本に持って帰ってきました。
今そこでシャロンは、晩ご飯の餃子を食べていますが、もうこの5年というものずっと気分を暗くしています。
この5年、ずっとシャロンは下を向いて生きてきました。
シャロンは、まだ死にませんし、ぼくも彼を殺しません。
彼はまだしばらく生き続けるでしょう。
ただ、シャロンの性格は変わってくれそうにもありません。
シャロンは、ずっと暗いままです。
「シャロン、明日、ぼくのご飯になってくれる?」
ぼくの言葉を聞いたシャロンは、とてもうれしそうに顔を明るくしました。
彼は喜んで飛び回り、自分から壁に頭をぶつけて、首を折り、死にました。
次の日の彼は、まったく、おいしくありませんでした。
シャロンのローストは、臭いだけでした。
めでたしめでたし。
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