「マッチ・ポイント」ですね。
ウッディ・アレンという人が監督です。
僕は彼が大好きなんですが、
確かに今作は、いささか「ドラマ」がなかったかな、と思います。
アレンの作品にしては、物語の「イベント」(=ここでは二度目の再会とその破綻)までの道のりも長く、
すこし、ゆっくりでスムーズすぎる感じです。
いきなりポンと、事件を持って来て、その波紋とか、その中でのキャラクター達を楽しむという、
古畑任三郎メッソド(「スコルピオンの恋まじない」という作品はこの分野ですね)ではありません。
ただ、
「人間」というものを描かせたら、
この人は実に、よく理解しているし、真摯に取り組む、天才だと思います。
とても滑らかに物語は進み、滑らかに終わるのですが、
その中での人物達の、セリフ、動き、心理描写に、
全くウソがない。とても現実的です。
橋田壽賀子先生に見てもらいたい。
(もちろん、アレ(わたおに)の価値は認めます。)
人間ですから、そんなに類型的に、いい人、悪い人という分け方はできませんし、
会話にしても、いろんな布石と気配りと王手、によって会話はなされるものでしょう。
そう、会話のシーンの「会話」はとっても、
本当に秀逸で、脚本家としての彼のセンスには脱帽です。
「映画に文学性なんていらない!!」
かもしれませんし、
確かに、映画として、どうこうという作品ではないと思います。
ただ、これは古典文学として、
1970年代からの、何とも形容しがたい、
「日常を生きる文学」という名のもとにおいて、
とてもすばらしい傑作です。
確かに派手じゃないし、インパクトもないが、
とても愛されて作られた、
とっても繊細で美しい、
非常にディティールの優れた、
いい文学作品だと、
思いました。
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